古代中国では自然界のあらゆるものは5つの性質(火・水・木・金・土)からなると解釈しました。
これらの5つの性質が『お互いに関係しあい、その強さやバランスによって変化し、循環する』と考え、これを自然、人間、社会においても取り入れ、様々な思想が確率されました。
東洋医学でもこれと同様に、5つの要素がお互いに関係しあってバランスをとっていると考えます。
このなかでも、夏の時期に相当するのが
『心(しん)』
です。
心は心臓そのものを指し、夏は特に心臓をいたわるのが良いとされています。特に、高血圧や心臓病、血液、虚弱体質の方には気をつけていただきたい季節です。
体温が上がり、汗をかいて水分をたくさんとったり、冷たいもので身体を冷やしがちなこの時期は心臓への負担が多くなります。
また、『心臓』は全身に血液を送り出す非常に力強い臓器であると同時に、緊張や不安、感情に敏感に反応する、人間の『こころ』と直接つながった繊細な臓器です。
①冷た過ぎない水分補給
猛暑で水分を十分とることは大切です。汗をかいた分の塩分も重要ですが、必要以上に補充すると高血圧や心臓病のある方には負担が多過ぎることがあります。また血圧が高いからといって、極度な水分、塩分制限も身体に負担がかかります。
また、もともと冷え性の方や、高齢者、汗をかきにくい体質の方は、冷たい水を大量に身体に入れると身体の中だけがどんどん冷えて『脾』が弱ることにつながります。
『身体が冷えると脾が弱る』といわれ、脾臓が弱るとこれに繋がる『腎』が弱るため、身体に水がたまりやすく、心臓にさらに負担をかけたり、むくみの原因になります。こもった水分が毛穴を詰まらせ湿疹や皮膚のトラブルを起こすこともあります。
② 水分補給の目安(身体からのサイン)
『口の渇き具合』
『尿の回数・色』
どんなに汗をかいていても、口の中が潤っていてしっかり唾が出れば大丈夫。普段より唾がネバネバしている時は、しばらく気をつけて冷え過ぎない水分を積極的に取りましょう。
また尿の色は普段と変わらず、薄い黄色(ワラのような薄い黄色が理想)か、これよりも薄い色であれば水分は十分足りています。これよりも濃い色の場合は足りない可能性があるため、冷えすぎない水分を取ります。
大量に汗をかく人は特に、塩分やミネラルを含んだ食事をしっかり取りますが、食事からの塩分としては、まだ涼しいうちの朝食に、少し冷めたくらいの味噌汁を飲んで1日を始めることが出来れば最高です。
③『こころ』を落ち着ける工夫を
気持ちに敏感に反応する『心臓』という臓器は、特に、『怒り』や『焦り』『不安』で弱ってしまいます。日中、ストレスを感じたり気が滅入っても、意識して早めに床に入り、睡眠をしっかり取りましょう。呼吸法➡️ や瞑想も効果的です。トラブルや問題の解決策はエネルギーを取り戻した翌朝に考えましょう。
④ 食事は『腹八分目』で温め過ぎない、冷やし過ぎない
身体の熱をとり、暑さを和らげてくれる食材はやはり旬の野菜です。
きゅうり
トマト
とうもろこし
スイカ
緑豆(もやし)
また、動物性のタンパク質(肉や乳製品)の取りすぎは身体を温め過ぎるため、暑い身体を冷やすために、冷たい飲み物や体を冷やす甘い砂糖が食べたくなります。こちらもほどほどに控えるようにしましょう。
『心』と関連する感覚は『味覚』です。
消化を助けるネギや紫蘇、生姜などの薬味は内臓を温め消化も助けてくれます。
冷奴や素麺、味噌汁に入れて、夏の味覚を存分に味わいましょう。
暑い季節を乗り切るために、早朝の散歩や短時間の半身浴で頭をリラックス、冷え過ぎない室内の温度調整と、十分な睡眠で翌日までに心身をリセットして、活気に溢れた夏を楽しみ、気を補いましょう。