メタロチオネインというタンパク質は、肝臓や腎臓、膵臓、心臓など、ほとんどの臓器に存在します。
ストレスがかかったり、重金属が体内に入ると、体内でメタロチオネインがたくさん作られます。
〜メタロチオネインの働きは以下です。〜〜〜
①重金属を結合して尿中に排泄する
②体内の亜鉛や銅などの必須金属を蓄え、必要に応じて利用できるようにする
③活性酸素の毒性を弱める
水銀やカドミウムを投与すると体内のメタロチオネインが増加すること、そして、メタロチオネインがないと肝臓の細胞が再生しないことが言われています。また、亜鉛を投与するとメタロチオネインが増えて、飲酒による酸化ストレス、つまり肝障害を軽減するという報告もされています。1)2)
〜メタチオネインを増やすものには以下のものがあります。〜〜〜
① カドミウム・無機水銀
② 紫外線、X線暴露
③ グルココルチコイド(コルチゾール)
④ エンドトキシン、エタノール
⑤ サイトカイン(インターロイキン6)
これらは細胞にストレスをかけるものやストレスがかかった時に体内で作られるものです。
つまり、ストレスに対応する身体の防御反応としてメタロチオネインが産生されています。
ここでもやはり、自己治癒力がちゃんと働いているのです。素晴らしい仕組みだと思いませんか?
メタロチオネインは亜鉛と結合しています。
メタロチオネインが作られると大量に亜鉛が使われるため、他の臓器の亜鉛が少なくなります。
つまり、水銀や有害金属が体内にあると、皮膚や爪、粘膜が弱くなったり、タンパク質の合成が落ちる、膵臓の働きが悪くなる、副腎の機能が落ちる、免疫機能が落ちる、といったことが起こります。
そして、亜鉛が欠乏するとメタロチオネインの合成ができないため、重金属の排泄ができなくなります。
『有害金属が体内にあると亜鉛が欠乏し、亜鉛が欠乏していると有害金属を体外に排泄することができない』
という悪循環です。
ストレスがかかるとどんどん消耗してしまう亜鉛は、食事から補うことができますが、高度のストレス状態にある場合は効率よくサプリメントを使うこともできると思えば少し安心です。
けれども同時に、
は今後の生活に大きく関わる大切なことです。
もともと備わった私たちの身体の素晴らしい仕組みに感謝して、自分たちでも出来ることからひとつずつはじめましょう。
1)Oliver JR et al, "Impaired hepatic regeneration in metallothionein-Ⅰ/Ⅱ knockout mice after partial hepatectomy. Exp Biol Med; 230(1): 61-7,2005
2)Zhou Z et al, "Zinc supplementation prevents alcoholic liver injury in mice through attenuation of oxidative stress." Am J Patholo.,166(6):1681-90,2005